完全流体
完全流体は、粘り気 (粘性) がなく、押し縮められない (非圧縮) と仮定した、理想的な流体のことです。実際の水は少し粘性をもちますが、計算を簡単にするため、ベルヌーイの定理などではこの完全流体として扱います。
セクション別の図解
完全流体と仮定してベルヌーイの定理で流速・圧力を求め、必要なら摩擦損失を後から補正する流れが描かれています。
完全流体は、水理の計算で出発点となる前提です。ベルヌーイの定理は、完全流体を仮定して「速度水頭+圧力水頭+位置水頭=一定」とします。これにより、管路や水路の流速・圧力を簡単に計算できます。実際の設計では、まず完全流体として基本の流れを求め、そのうえで粘性による摩擦損失を別に見積もって補正します。理想化して考えてから現実に近づける、という進め方の土台が完全流体です。
左に摩擦なくエネルギーを失わない完全流体、右に粘性で摩擦損失のある実在流体を並べ、ちがいが対比されています。
完全流体と実在流体 (実際の水) は、粘性の有無がちがいます。完全流体は粘性がないため、流れても摩擦でエネルギーを失いません。実在流体は粘性があり、流れるときに摩擦でエネルギーを少しずつ失います。だから、完全流体ではベルヌーイの定理 (3水頭の和が一定) がそのまま成り立ちますが、実際の水では摩擦による損失を別に考える必要があります。完全流体は、まず損失なしの理想で考えるための前提です。
粘性のない完全流体では摩擦損失がなく、速度・圧力・位置の3水頭の和が流れに沿って一定に保たれる様子が示されています。
完全流体を仮定するのは、エネルギーの損失をなくして考えを単純にするためです。粘性がないと、流れても摩擦でエネルギーが失われません。すると、流れのもつエネルギー (速度水頭+圧力水頭+位置水頭) の和が、流れに沿ってずっと一定に保たれます。これがベルヌーイの定理です。実際には少しの損失がありますが、まず完全流体で基本の関係をつかみ、必要に応じて損失を補正する、という順で考えます。