膨張コンクリート
膨張コンクリートは、膨張材を混ぜて硬化中に少しふくらませ、乾燥などで縮もうとする力を打ち消すコンクリートです。収縮ひび割れを抑えたい床版や水槽などで使われ、鉄筋に適度な引張りを与えて耐久性を高めます。
セクション別の図解
コンクリート内部で、縮もうとする矢印と膨張材による広がる矢印が向かい合い、ひび割れが抑えられています。
膨張コンクリートは、硬化するときに少しふくらむ性質を利用して、あとで起こる収縮を補う材料です。風船を少し先にふくらませておき、しぼむ分を見込むような考え方です。収縮ひび割れを減らし、水密性や耐久性を保ちたい部材で役立ちます。
中央のコンクリート片に、内向きの収縮矢印と外向きの膨張矢印が描かれ、力の釣合いが示されています。
性質として大切なのは、ただ大きくふくらませる材料ではなく、収縮を打ち消す程度に膨張させる点です。膨張コンクリートは、鉄筋や型枠に拘束されると内部に圧縮力が生まれ、ひび割れを開きにくくします。過不足のない配合と養生が、効果を出す条件になります。
大きな床版や水槽の壁に膨張コンクリートを打ち込み、ひび割れを抑える施工場面が描かれています。
用途は、収縮ひび割れが問題になりやすい大きな面や水を止めたい部材です。膨張コンクリートは、橋の床版、地下構造物、水槽、舗装版などで使われます。水漏れや鉄筋腐食につながる細いひび割れを減らしたい場面で、普通コンクリートより有利になります。
左に収縮ひび割れが入った普通コンクリート、右に膨張で収縮を補ったコンクリートが並べられています。
違いは、硬化後に縮む力への備えです。普通コンクリートは乾燥や温度変化で縮むと、拘束された部分に引張りが生じてひび割れやすくなります。膨張コンクリートは、先に小さな膨張を与えておくため、収縮で生じる引張りを弱め、ひび割れ幅を抑えやすくなります。